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心電図の異常について

心臓の筋肉が収縮する際に発生する電流を記録する“心電図”は、不整脈の検査には欠かせないものとなっていますが、他にもその波形の異常から心臓疾患を特定することができます。

 

“左室肥大”になると左室の心筋が分厚くなって硬くなるために、血液不足に陥ったり、収縮時に余分な力が必要となったり弛緩時に元に戻りにくくなったりします。

 

軽度の左室肥大では収縮時のR波が高くなるものの弛緩時T波は正常というのが多く、深刻な左室肥大ではR波の異常に加えて、ST波、T波も異常を示すと言われています。

 

ただし、やせて胸壁の薄い人は波形の振れが大きくなりやすいために健診などでは心肥大の疑いがあると診断されたり、逆に肥満気味の人や肺気腫の人は心肥大があっても見逃されてしまうケースもあるようです。

 

次に心臓の血管が細くなっている“狭心症”の場合は、ST波が基線よりも下にある水平型や下降型を示します。

 

これを“ST低下”と言い、正常な場合には収縮が終わった時点で発生するST波はやや大きめのドーム状をしていますが、心筋の内側で虚血が起きている場合はこのような低い波形になります。

 

“心筋梗塞”の場合は、心電図の波形は時間とともに変化するのが特徴で、発症直後にはST波が上昇し、2~6時間経過するとこれに加えて心筋の収縮が起こる時点で発生するQ波が異常に低下し、2~3日経つとT波の向きが逆転することから、診断では波形から発症後どれくらい時間が経っているかを知ることができます。

心電図の波形が教えてくれること

心電図の波にも表されているように、心臓は心筋に電気を流すことによって収縮と弛緩とを繰り返しながら体中に血液を循環させています。

 

そして心電図の波形からは、左心室肥大や狭心症、心筋症、心筋梗塞、不整脈といった心臓疾患があるかどうかも診断することができます。

 

まず、最初に発生する“P波”は心臓のメインスイッチである“洞結節”の様子を表すもので、この波が現れない場合や波の形が変化している場合には、洞結節に異常が起こったり弁膜症などによって心房が大きくなっていることが疑われます。

 

次に“QRS波”の異常は、心室の刺激伝導に異常があることを表しています。

 

たとえば、Q波から始まってR波でピークに達し、S波で元の状態に戻る際に形成される“QRS波”のQ波からS波までの間隔は、心内膜に届いた電流が心筋を興奮させるのに必要とされる時間で、0.05~0.10秒が正常値とされていますが、この値を超える場合には、刺激伝導系に障害が起こる“脚ブロック”や、心室で異常な電気刺激が起こって脈の早くなる“心室頻拍”、心室全体が小刻みに震えて全身に血液を送ることができなくなる“心室細動”などが起こっていることも考えられます。

 

また、最初に起こるP波の始まりから収縮が始まるQ波までの間隔を“PQ間隔”と言い、これによって心房の興奮が心室に伝わるまでの時間を知ることができますが、この間隔に異常がある場合は、心房から心室への刺激が伝わる房室結節あたりに異常があることが考えられます。

 

さらに、収縮が終わって弛緩状態に入った時点で発生する“T波”に異常がある場合は、心肥大や心筋症、狭心症などが疑われます。

心電図の波形について

心電図は心筋で起きる電流を表現していますが、その波形には“P波”、“QRS波”、“T波”の3つがあります。

 

まず心臓の右心房内にある洞結節から電気信号が発せられて右心房に電気が流れると、心房の興奮によって小さなドーム状の“P波”が生じ、さらに電流が房室結節に届くと“Q波”が始まり心室内の電線に電流が流れて心臓が収縮すると“QRS波”という鋭くとがった背の高い波形が形成されます。

 

心室の入り口では1本だった“ヒス束”と呼ばれる電線は、心室に入ると左心室に向かう“左脚”と右心室に向かう“右脚”の2つに分かれ、それらはさらに“プルキンエ線維”と呼ばれる細かい電線網に枝分かれして電気を伝えて心筋を収縮させ、収縮を終えると次の収縮の準備のために心室は拡張して興奮がおさまり、それによって心電図には“QRS波”に続いてやや大きなドーム状の“T波”が形成されます。

 

ちなみに最初に発生する“P波”をさらに詳しく見てみると、3つの部分で構成されていて、最初の1/3は右房興奮を、真ん中の1/3は右房と左房の両方の興奮を、そして最後の1/3は左房の興奮を表しています。

 

“QRS波”は心臓の収縮が始まった時点のQ波とピーク時のR波、終わった時点のS波とをひとまとめに表現したもので、このように心臓が収縮することを“脱分極”、T波が現れて弛緩した状態を“再分極”と言います。

 

また“房室結節”というのは心房と心室の境目にあって、主電源として働く“洞結節”の調子が悪くなったり、心房内の電気の流れが悪くなった時に働く予備の電源としての役割も担っています。

心電図検査について

心臓は私たちが生きて行く上で最も重要な臓器の1つで、微弱な電気を発生させることによって筋肉を収縮させて、肺でガス交換の行われた新しい血液を規則正しく全身に送り出し、同時に二酸化炭素や老廃物を含んだ使用済みの血液を回収することができるしくみになっています。

 

このような心臓がきちんと電気信号を作り出すことができているか、また電気信号の伝わり方に異常はないかは“心電図検査”を行うことによって知ることができます。

 

心電図検査で心臓の筋肉が収縮時に発する電気信号をグラフ化することで、心臓が発しているさまざまな声を簡単に知ることができるのです。

 

また、心臓に血液を送っている“冠状動脈”の動脈硬化が進むと血流量が低下して、心筋に十分な酸素が送られなくなって狭心症や心筋梗塞を引き起こしやすくなりますが、心電図から心臓の筋肉に血液が正しく送られているかどうかを知ることもできますし、そのリズムからは、心臓の4つの部屋が協調しあっているかどうかも知ることができます。

 

このように循環器疾患の診療にはなくてはならないものとなっている心電図検査は、約100年の歴史をもつ非常に古いもので、この普及によって診断の精度は一気に高まったと言われていますが、一方で、通常の心電図検査では記録されるデータの量は限られるために異常が見過ごされたり、動悸や息切れや胸の痛みなどの発作が病院での診察中以外の時間に起こる場合には記録されないこともあります。

 

そこで開発されたのが24時間機器を携帯して心臓の動きを継続して記録することのできる“ホルスター心電図”で、これによってより的確な診断が可能になりました。

心房・心室の異常

心臓は異常が起きるとさまざまなSOSのメッセージを発しますが、血液を受け入れる役割を果たしている“心房”に異常が起きると、心房粗動や心房細動、上室頻脈といった不整脈の症状が起こります。

 

“心房粗動”は、心房が1分間に240~450回程度の非常に速い周期で不規則に興奮を繰り返す症状で、主に右心房に発生し、心筋症や弁膜症といった心房に大きな負担を与えるような病気があったり、高血圧の人に起こりやすいと言われています。

 

“心房細動”は、心房の壁が1分間に300~600回程度で細かく震え、血液を効率よく心室に送り出せなくなった状態で、動悸を訴えることが多く血栓ができて脳梗塞などを引き起こすこともあるので薬剤を使って血液を固まりにくくする抗凝固療法が必要となってきます。

 

心房中隔欠損症や僧帽弁狭窄症、心筋症、甲状腺機能亢進症などによって心房に負担がかかり過ぎた状態が続いて、心房が拡張した際に生じることもあるようです。

 

“上室頻脈”は1分間に160~220回程度の速くて規則的な頻脈で、これに伴って動悸や息切れ、胸の痛みなどの症状が突発的に始まって突然治まるのが特徴です。

 

一方、血液を送り出す役割を果たしている心臓の“心室”に異常が起きると、心室粗動や心室細動、心室頻脈といった“心室性不整脈”の症状が起こりますが、中でも“心室細動”が起こると心臓は1分間に400~600程度に心拍数が上がって小刻みに震えだし、血液を送り出すことができなくなってしまうために心停止と同じような危険な状態に陥ってしまいます。